大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和48(オ)394 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由第一ないし第八点について。

原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)に徴すると、原審の認定

した事実は次のとおりである。すなわち、上告人所有の本件農地が転用のため被上

告人に売却され、右農地の一部につき上告人、被上告人が協力して農地法五条の許

可申請をしたところ、隣接地所有者、耕作者等の承諾書がえられなかつたため、そ

の受理を拒まれ、その後、右転用許可を得られないまま、右契約で定められた所有

権移転登記、引渡および代金支払の履行期が過ぎた、というのであつて、原審の右

事実の認定は、原判決挙示の証拠により首肯することができ、右認定判断の過程に

も所論の違法はない。

ところで、農地法五条による許可申請は、手続上双方申請とされているから、買

主においてもこれに協力する義務があることはいうまでもないが、元来売買契約に

おいて、売主は買主に対し、目的物件の所有権を移転し、同人に完全にこれを享受

させるために必要な行為をする義務を負うのであるから、農地転用のための売買契

約において、反対の特約があるなど特段の事情のないかぎり、売主は買主に対して

農地法五条の許可をえて目的物件の所有権を移転する義務を負うのであり、売主が

一旦買主と協力して右許可申請をしたとしても、前述のような事情で受理されなか

つた以上、許可申請をしたことによつて売主がその義務を果したものとはいえない。

そうすると、前記認定事実のもとにおいては、上告人において右義務の履行を怠つ

ていたものであり、同人が本件売買契約を解除することは許されないといわなけれ

ばならない。

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してみると、右と同旨の原審の判断は正当として肯認することができる。原判決

に所論の違法はない。

その他原判決に所論の各違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 川 信 雄

裁判官 岡 原 昌 男

裁判官 大 塚 喜 一 郎

裁判官 吉 田 豊

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